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シュプリームのために制作されたスケートフィルム「blessed」の裏話

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2014年の『Cherry』に続き、ウィリアム・ストローベックがSuperemeのために製作した『Blessed』は、ここ10年で最高のスケートフィルムだ。『Cherry』はついにSuperemeがスケートビデオを公開する、と興奮と期待をもって迎えられ、大々的に宣伝された。しかし『Blessed』はさらにその上をいく。生々しく、活気に満ちたクールな作品であると同時に、ウィリアムが結集したスケーターたちのスキルを証明する1本だ。作中でロサンゼルス、ニューヨーク、パリの街を駆け抜けるのは、タイショーン・ジョーンズ、ベン・キャドウ、ショーン・パブロ、ナケル・スミス、セージ・エルセッサー。スケーターたちの荒削りなポートレイト『Blessed』は、彼らのタフでハードでリアルな姿に肉薄する。ウィリアムは2年半を費やし、現代のスケートを描く長編作品を完成させた。本作をひっさげたワールドツアー真っ最中で、日本のホテルにいるウィリアムに電話インタビューを行なった。ビル、調子はどう? 今は日本ですよね。

まあまあだよ。今はタイショーンとホテルの部屋でくつろいでる。

——ワールドツアーはどうでした?

8日間でニューヨーク、サンフランシスコ、パリ、ロンドン、東京を回った。かなり忙しいけど、最高に楽しいよ。毎晩のようにみんなと出かけて騒いでる。朝の6時とかまで遊んでるような、めちゃくちゃなヤツばかりだ。街によって反応は違いました?

どこでも評判は良かった。ニューヨークではスタンディングオベーションだったよ。あんなの初めてだ。こんなことは『Cherry』でもなかった。この作品のために自分の内面を奥深くまで掘り下げたから、すごく特別な作品なんだ。ひっきりなしに若者からメッセージが届く。最高だよ。こんな作品を自分がつくったなんて信じられない。

——本格的な長編作品ですから、苦労もあったのでは?

この作品は、自然にできあがったんだ。尺については妥協したくなかった。スケート以外も含めて、全部のシーンが重要だから。出演した若者たちをとても精細に描写した作品だ。彼らはスケート、ルックス、スタイル、発言、どれをとっても特別な存在。そんな彼らが出会ったなんて、最高にクールだと思う。注目を浴びるようになって、ケチをつけてくるヤツもいるけど、みんな互いに支え合ってる。
彼らは何かに強制されるのではなく、ごく自然にいっしょに滑っているようにみえました。

ありのままの彼らをカメラに収めたかったんだ。スケーターを撮るようになってから、ずっとそうしてきた。昔はジェイソン・ディルやマーク・ゴンザレスとも同じことをしてた。ふたりは強い個性の持ち主で、撮りがいがあったけど、『Blessed』のスケーターたちも同じだった。

——お気に入りのシーンは?

選べないよ。どのスケーターも大好きだから。思い入れの深い作品なんだ。強いていうなら、タイショーンが何度もトリックに挑戦する、パリで撮影したラストのシーンかな。この作品をつくるのにどれだけ時間がかかってるか、よくわかるシーンだから。この作品を通して、スケートをしないひとにも、実際に滑る感覚を少しでも理解してもらえたらうれしい。大抵のスケートビデオは、トリックを連続で映して終わる。でも警備員と揉めたり、鍵を壊したり、僕らは滑るためなら手段は選ばないし、誰にも邪魔はさせない。タイショーンは誰にも止められない。誰かが障害物を置いたって、すぐにどかしてしまう。通報されても、「警察が来ても俺は捕まらないよ」なんていう。警察が来たらふらっと姿を消して、平気な顔してる。
そういう場面も興味深かったです。この作品はスケートの大変な部分を映しています。逆境に立ち向かう力が求められるからこそ、やりがいを実感できる。綺麗事だけじゃないんですね。

ストリートで滑るのは簡単じゃない。問題ばかり起こる。この映画が切り取っているのは、そんなトラブルのほんの一部。これを観るひとに、僕らの体験をリアルに感じてほしかった。

——『Blessed』は『Cherry』からさらに進化しましたね。

『Cherry』を撮っていた頃は、スケーターたちのことをここまでわかっていなかった。当時の彼らはただ、ニューヨークやロサンゼルスで滑ってた、Supreme好きなクールな若者だったんだ。そんなスケーターたちを集めて、一緒につるむようになった。彼らと滑るのはほんとに楽しかったよ。当時はみんなスケートを始めたばかりで、明日の生活もわからないような状態だった。

——みんなかなり若かったんですよね。

そうだね、みんな若者らしい感性を持ってた。僕にとってはそれが楽しかった。僕は彼らをスーパーヒーローに変身させたかった。みんな最高のスケーターになるってわかってたから、応援したかったんだ。
『Blessed』と『Cherry』、どちらのほうがプレッシャーを感じました?

正直、どちらを撮るときも大してプレッシャーは感じなかった。スケートビデオを撮ろうとしても、最初のうちはスケーターに指示を出すのは難しい。「ほんとに撮るの?」って感じで、誰も本気にしない。最初の5ヶ月はずっとそんな調子だ。そのうち、ひとりがヤバいトリックを決めるのを撮ると、誰かが聞きつけて話題にする。そこでようやくみんな本気になるんだ。スケートビデオの撮影は、なるようにしかならない。すごいトリックが撮れるかもしれないし、何も撮れないかもしれない。計画なんてないんだ。

——では、今回のような映画はどのように構成を決めるんでしょう?

撮影しながら、臨機応変に進めていくのが大事だ。このあとどうなっていくのか、とか考えながらね。もちろん試行錯誤の連続だけど。「もうスケーターを撮るのはおしまいにしよう。次は映画をつくりたい。やれることはやった。これ以上続けてどうする?」って思ったこともあった。当時は『Cherry』が充分デカい作品のような気がしてたんだ。そんなときジェームス(・ジェビア、Supreme創設者)が家に来て、初めて『Blessed』を観た。彼は画面に釘付けになってた。そのあと「君は映画をつくる必要なんてない、もうつくったじゃないか」っていわれた。衝撃的だったよ。ジェームスにいわれるまで、そんなふうに考えたことはなかった。これはスケートボードをしてる若者たちの記録だ。製品の広告とか、企業のためにつくった作品でもない。
彼らが初めて完成版を観たのはプレミアだった。次はどうなるのか、自分のパートはどうなってるのか、ってみんな緊張してるのがよくわかった。撮影に2年半かけて、初めて自分の顔がスクリーンに映るのを観るなんて、想像もつかないだろ。僕はもう500回くらい観たあとだったけど、初見のスケーターたちの目を通して、改めて観返すのはすごく楽しかった。今回目指したのは、子どもの頃、スケートビデオのVHSを郵送で受け取ったときのような感覚。何が映ってるのか観てみるまでわからない、でも1度観たら1000回も観てしまう...。そんな体験を現代に蘇らせるのが、この作品の狙いだ。
ディランのためのシーンもあるし、他にも彼を知ってるひとならわかるモノがたくさん出てくる。もうここにいなくても、彼は常にこの作品に関わっていた。ディランはずっと僕の頭のなかにいた。常に彼のことを考えていたんだ。ディランにもこの作品を誇りに思ってほしかった。「最高だな、やったな」って。

『Blessed』はディランのための作品だ。時が経って、いろんな出会いや別れを繰り返しても、ディランが逝ってしまったなんていまだに信じられない。実感がわかないんだ。ディランはスケート界のトップに君臨していた。本当にすごいヤツだった。彼がこの世を去るまで、わずかな時間だったけど、共に過ごせたことに感謝してる。人生には死ぬまでに必ず出会うべくして出会う人間がいる。それから、スケートビデオの制作を続けてこられたことにも感謝してる。この10年、僕たちは出会わない道もあっただろう。人生は何が起きるかわからない。みんなで協力して特別な作品をつくれること自体、ありがたいことだと思う。